*これは, カミュのバースデー企画用に書いたものです。
例によって、水晶聖闘士の本名は私の創作です。



   NORTHENLIGHTS

極寒の地、東シベリア。最初に声をかけたのはカミュの方だった。
「ミロ、ここで何をしている?」
「御挨拶だな。せっかくギリシアから君に会いに来たのに。今日の アレクセイの訓練はまだ終らないのか?」
そう言いながらミロは、氷原にあけられた巨大な穴を 自分の凍気だけで塞ごうとしているアレクセイを見ていた。
自分達より少々年上のこの少年に、ミロは一度「年下のカミュに指導を受ける事に対して、 不満は感じていないのか?」と訊ねた事がある。その時彼はニッコリ笑って 「年下であろうと、カミュは尊敬できる立派な聖闘士ですから。」と答えた。
それ以来アレクセイを友人として好ましく思い、また、カミュを少々羨ましくも感じていた。
「師匠思いの弟子に、何か祝ってもらったか?」
そう訊ねたミロを、カミュは横目でチラリと見た。
「なぜだ?」
「今日が何の日なのか、忘れているのか?」
カミュは冷たく言い放った。
「私の誕生日の事を言ってるのなら、そんな物は私達には関係がない。 アレクセイも、そんな事を思い出す暇もないだろう。」
「まあ…そうかもな。」”そんなはずはないだろう”と言おうとしたが、やめておいた。
日々の厳しい修業の中、本当に些細な日常を忘れているのかも知れない。しかし――
やはりミロの本心としては「アレクセイが、君の誕生日を忘れるはずがないだろう」であった。
そして、二人の黄金聖闘士のこんなやり取りを知ってか知らずか、当のアレクセイは そっとつぶやいていた。
「地磁気が激しく乱れてるな…。こんな日は…。」

その夜。カミュにとっても、一日の中のほんの少しの『自分だけの時間』。 ミロが帰った後、氷原の上に置かれていた紅茶の缶を手に考え事をしていると、アレクセイが部屋のドアをノックした。
「すみません、カミュ。少しお時間をいただけますか?」
「何だ?」ドアを開ける為に立ち上がると、再び声がした。
「窓から空を見て下さい。」
――空?――
カミュは、訳もわからないまま、弟子の言葉に従った。空には―――なんとも見事なオーロラが輝いていた。
「これは…素晴らしいな…。」
さすがのカミュも、感嘆の声をあげずにはいられなかった。
「今夜はきっと出ると思ったんです。今日、しかも日付が変わる前にこれほどの物が 出てくれて、本当によかった。カミュ…」ドアの外から、まだ弟子の声が聞こえていた。
「お誕生日おめでとうございます。」
カミュが、珍しく素直な気持ちになっていた。
「ありがとう。」
”ミロにも、今度会ったらこう言わなければ”と思いつつ、カミュはずっと、その極彩色の光を見つめていた。

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