*これは, 氷河のバースデー企画用に書いたものです。



   氷河の大切な日

朝から何やら、落ち着きのないアイザックの姿を氷河は視界の隅に捉えていた。
――どうしたんだ?あいつは――
氷河が台所に行こうとすると出入り口をふさぎ、「昼飯ならそっちで食え!俺が持って行ってやるから」と珍しい反応。そして水晶聖闘士も、朝の指導を終えるとすぐにどこかへ出かけていってしまった。
――聖衣を脱いで行ったって事は、聖域からの呼び出しではないし…しかも、妙に急いで…――
その時、家の外から声がした。
「おーい!氷河、アイザック、開けてくれ!」氷河が扉をあけると、そこには両手で大きな食糧袋を抱きかかえた師匠が立っていた。
「どうしたんですか?それ。」両手がふさがっている師の体から雪を払い落としながら氷河が尋ねた。
「何だ、忘れてるのか?今日が何の日なのか。」
「先生、遅いですよ!間に合わないんじゃないかと思った!」台所からアイザックが飛び出してきた。
「すまん。さあ、早速取りかかろう。氷河、お前はこっちで待ってろ。」
「どうして…」言いかけて、途中で気がついた。

――今日は俺の誕生日だ!――

妨害するアイザックのわきの下から覗き見た台所の調理台の上には、たくさんの器具や調味料が並べられていた。

その夜。テーブルの上に並べられたたくさんの料理。どれも氷河の好物ばかりだ。しかし氷河は、さっきからうつむいたままだった。
「氷河、どうした?」
「先生…あの…、どうしてこんなにしてくれるんですか?聖闘士になる為の修業は、非情なものだと聞きました。だけど…。」
――だけど、毎年毎年。アイザックの誕生日もそうだ。こんなに優しく、温かく祝って貰っていいのだろうか…?――
「素直に喜べよ、氷河。」アイザックはすでに、料理に手を伸ばしている。そんなアイザックに(料理中にもあれだけつまみ食いしてたのにな)と苦笑しつつ、師匠は言った。
「覚えているか?氷河。初めて氷壁を砕いた時の事を。」
「え?」――初めて氷壁を砕いた時――
あの時は、困難な事をやり遂げて、ただ、ただうれしかった。
「俺はな、氷河。」師の声に含まれる優しさが倍増した。
「表現の下に眠る母親のもとへ、すべての感情を置いて来たようなお前が初めて見せたあの笑顔を、大事にしてやりたいんだ。」温野菜のサラダを取り分けながら、師が続けた。
「この野菜はな、お前の大切な日だからという事で、村の人が備蓄してあった物を分けてくださったんだ。ヤコフも、氷河を喜ばせてあげてほしいと言って、食料の調達を手伝ってくれたんだぞ。村の人にこんなに愛されて、幸せ者だなだな、お前は。」
「先生の人徳のお蔭でもあるけどな。俺達は本当にしあわせだぞ、氷河!」
「ああ、それに、わが師カミュからもカードが届いている。一面識も無いお前達の事を気にとめて下さってるんだ。食事がすんだら渡そう。」
氷河はもう、どう反応したらいいのか判らなかった。
――あっ…まずい…――
氷河の目に、涙がにじんできた。水晶聖闘士は、とろけるような笑顔で言った。
「その気持ちを忘れるな、氷河。」
「はい…」
氷河には、それ以上言葉を続ける事が出来なかった。

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